2026年08月13日

制作ノウハウ

ホームページ保守費用の相場と勘定科目|249件の実データで検証

ホームページ保守費用の相場と勘定科目|249件の実データで検証

ホームページの保守費用は月額2万〜10万円が中心です。ただしこの記事の結論は「相場を知っても決められない」です。当社が受けた保守依頼249件(22社)を数えたところ、1社だけで全体の63%を占め、依頼が多い顧客と中央値の顧客では月あたりの依頼数に20倍の開きがありました。費用を決めるのは相場ではなく自社の依頼の出方です。勘定科目のほうは迷う場所が1つしかなく、判断基準は法人税基本通達7-8-6の2に書かれています。

保守費用の「相場」が当てにならない理由

同じ保守サービスでも、実際に発生する依頼の量が会社ごとに20倍違うからです。

当社の保守依頼データベースから、2026年4月7日〜8月12日に登録された249件(22社)を集計しました。まず件数の分布です。

顧客 件数 構成比
最多の1社 156件 62.7%
残り21社 合計 93件 37.3%

1社で6割を超えています。 つまり「249件の平均」という数字を作っても、それはほぼその1社の姿でしかありません。相場記事が出す「平均○万円」も、母集団の偏りが開示されない限り同じ問題を抱えています。

月あたりの依頼数で見ると差はもっとはっきりします。データが揃っている2026年5〜7月の3か月で比べました(4月と8月は集計期間が月の途中なので除外)。

区分 月あたり依頼数
最多の1社 平均 40.3件
その他の稼働顧客 中央値 2件(n=29社×月・最大6件)

約20倍です。 同じ「ホームページの保守」という言葉で呼ばれていても、月2件の会社と月40件の会社が同居しています。この2社に同じ月額を提示できるはずがありません。

持ち帰り: 保守の見積を取るときは「相場はいくらか」ではなく、自社が月に何回サイトを触りたいかを先に数えてください。過去1年で更新した回数を数えるのが最も早く、それが無ければ「お知らせは月何本出すか」「求人票は年何回入れ替えるか」を足し算します。この数字が無いまま相場を聞いても、返ってくる金額は比較できません。

当社の保守プラン料金を公開します

相場の代わりに、実際の価格表をそのまま出します。2026年8月時点・税別です。

プラン 月額 含まれるもの
ライト 20,000円 月1回コンテンツ更新・セキュリティ監視・障害対応
スタンダード 50,000円 月4回コンテンツ更新・SEO月次レポート・改善提案・障害対応
プレミアム 100,000円 月8回コンテンツ更新・SEO/AEO月次レポート・広告運用連携・優先対応

関連する運用系のメニューも同じ価格表にあります。

項目 料金
SEO/AEO月次レポート・改善 月 50,000円
AI記事作成・自動更新運用(月8記事まで) 月 30,000円
AI記事の追加作成(上記の超過分) 5,000円/本
口コミ・コメント返信代行 月 3,000円

ここで注意してほしいのは単位です。3プランはいずれも「月○回」で区切られています。ところが前章のとおり、当社で最も依頼が多い顧客は月40件です。プレミアムの「月8回」を大きく超えています。

つまりプラン表の回数は、実需を測ってから選ぶものであって、逆ではありません。回数から入ると、足りなければ都度見積が積み上がり、余れば払い損になります。

持ち帰り: プランを比較するときは月額ではなく「1回あたりいくらか」に割り戻してください。月20,000円÷1回=20,000円、月50,000円÷4回=12,500円、月100,000円÷8回=12,500円。回数が増えるほど1回は安くなり、途中から横ばいになります。この曲がり角より依頼が多いなら、プランではなく都度見積や別建ての契約を相談したほうが安くなることがあります。

依頼の中身は何か(実データと、その偏り)

保守費用の大半は「障害対応」ではなく「Web修正」に使われています。

249件をカテゴリ別に数えました。

カテゴリ 全体 249件 最多1社を除く 93件
Web修正 63.9% 50.5%
問い合わせ 26.5% 38.7%
障害対応 6.0% 1.1%
未分類 3.6% 9.7%

この表は2列を並べて読んでください。全体では障害対応が6.0%ありますが、15件のうち14件が最多の1社に集中しており、残り21社では1.1%(93件中1件)です。「保守=トラブル対応」という印象は、少なくとも当社のデータでは支持されません。実態は文言と画像の差し替え、ページの追加、問い合わせへの回答です。

もう1つ、件名を見て分かったことがあります。最多1社の156件のうち52件が「テストアップ完了」の確認往復でした。1つの修正が1件のやり取りで終わっていないということです。修正内容そのものより、確認と差し戻しの回数が工数を決めています。

持ち帰り: 保守会社を比較するとき「障害時の対応時間」を聞く人は多いのですが、データ上そこはめったに起きません。代わりに「文言修正1件の依頼から公開までに何往復かかりますか」「テスト環境で確認できますか」を聞いてください。ここが実際の待ち時間と費用を決めます。

保守費用の勘定科目は、迷う場所が1つしかない

分かれ道は「維持」か「向上」かの1点です。

先に事実を1つ。国税庁の質疑応答事例に「ホームページの制作費用」という事例は、現在は掲載されていません。2026年8月13日に法人税の質疑応答事例352件と所得税の一覧を機械で走査して確認しました。この事例を典拠として挙げている解説記事が多数ありますが、リンク先は現存しません。

では何を見るか。ホームページはソフトウェアとして扱われるため、法人税基本通達7-8-6の2が直接あてはまります。原文です。

> 法人が、その有するソフトウエアにつきプログラムの修正等を行った場合において、当該修正等が、プログラムの機能上の障害の除去、現状の効用の維持等に該当するときはその修正等に要した費用は修繕費に該当し、新たな機能の追加、機能の向上等に該当するときはその修正等に要した費用は資本的支出に該当することに留意する。
> (法人税基本通達7-8-6の2)

国税庁は実例でも同じ答えを出しています。質疑応答事例「周波数移行に伴うソフトウェア修正費用の取扱い」では、修正が「従来から使用しているプログラムと同等の機能を維持するために行う修正にとどまる」ものであることを理由に、修繕費に該当すると回答しています。

これを保守作業に当てはめると次のようになります。

保守作業の例 維持か向上か 区分の目安
表示崩れ・エラーの復旧 機能上の障害の除去 修繕費
既存ページの文言・画像の差し替え 現状の効用の維持 修繕費(広告宣伝費として処理する例も多い)
WordPress・プラグインの更新 現状の効用の維持 修繕費
月額の保守契約料 役務の継続的な提供 支払手数料・業務委託費など(期間費用)
サーバー・ドメイン・SSLの年額 資産の取得ではない 通信費・支払手数料など
新規ページ・新機能の追加 新たな機能の追加 資本的支出(ソフトウェア)
全面リニューアル 仕様の大幅な変更 資本的支出または新規取得

持ち帰り: 保守会社からの請求書が「保守料 一式」の1行なら、内訳を分けてもらってください。維持と向上が同じ行に混ざっていると、経理側で区分できません。「月額保守料」「既存ページ修正」「新規ページ追加」を別の行にしてもらうだけで、判定はほぼ機械的に終わります。

判断が割れたときの金額基準

「維持か向上か」で決まらない支出には、金額で切る基準が用意されています。

タックスアンサーNo.5402「修繕費とならないものの判定」から、実務で使う順に並べます。

1. 1つの修理・改良が20万円未満なら修繕費としてよい
2. おおむね3年以内の周期で行われることが明らかな修理・改良なら修繕費としてよい
3. 修繕費か資本的支出か明らかでない場合、60万円未満、またはその固定資産の前期末取得価額のおおむね10%以下なら修繕費としてよい

月額の保守契約はほぼ1と2で片付きます。問題になるのは年に一度の大きめの改修です。

資本的支出になった場合の扱いも押さえておきます。ソフトウェアは無形固定資産で、耐用年数は5年(複写して販売するための原本または研究開発用のものは3年)です(タックスアンサーNo.5461)。少額のものは別扱いで、10万円未満は全額損金、20万円未満は一括償却資産として3年で均等償却できます(No.5403)。

持ち帰り: 経理担当者に渡す資料は「請求書」だけでは足りません。作業内容が分かる依頼票か報告書を一緒に渡してください。金額基準より先に「維持か向上か」で判定するため、何をしたかが分からないと判断できません。

2026年に変わったこと(更新前の情報に注意)

中小企業者等の少額減価償却資産の特例が、令和8年度税制改正で拡充・延長されました。

財務省「令和8年度税制改正の大綱」に次のとおり書かれています。

  • 対象となる減価償却資産の取得価額を40万円未満(現行:30万円未満)に引き上げる
  • 対象となる法人から常時使用する従業員の数が400人を超える法人を除外する
  • 適用期限を3年延長する

この改正を含む「所得税法等の一部を改正する法律」は令和8年法律第12号として2026年3月31日に公布されています。年間の合計限度額300万円は据え置きです。

ここが実務上の落とし穴です。国税庁のタックスアンサーNo.5408は、2026年8月13日時点でまだ「30万円未満」「令和8年3月31日まで」の記載のままです(ページ上部の表示は「令和7年4月1日現在法令等」)。公式サイトを見に行った人ほど、古い基準で判断してしまいます。

なお、改正後の基準がいつ取得した資産から適用されるかなどの細目は大綱の記述だけでは確定できません。適用時期は必ず原文と顧問税理士に確認してください。

持ち帰り: 制作費や大きめの改修費が30万円台なら、改正後の基準で扱えるかを税理士に確認する価値があります。旧基準では資産計上、新基準では一括損金と、結論が変わる金額帯です。

この記事の限界(正直に書きます)

数字を出した以上、出せなかったものも書きます。

  • 1件あたりの実費と工数は開示できません。当社の保守依頼DBは249件すべてに件名と顧客が入っている一方、実績工数は0件(0%)、費用区分は15件(6.0%)しか記録がありません。「1件の修正に何時間かかり、いくらだったか」を当社は集計できる状態にしていません。この記事に工数単価の表が無いのはそのためです。
  • 期間は約4か月です。集計対象は2026年4月7日〜8月12日で、それ以前のデータはこのDBに入っていません。当社は福岡でホームページ制作・保守を15年以上続けていますが、この記事の数字が代表しているのは直近4か月・22社分だけです。
  • 1社に偏っています。冒頭に書いたとおり最多の1社が63%を占めます。偏りを消さずにそのまま出したのは、偏っていること自体がこの記事の結論だからです。
  • 税務の判断は当社の専門外です。引用した通達・タックスアンサーは原文を確認していますが、具体的な処理は事実関係によって変わります。最終判断は顧問税理士または所轄税務署にご確認ください。

よくある質問

Q. ホームページの保守費用の相場はいくらですか?

月額2万〜10万円が中心です。ただし当社の実データでは、依頼の多い顧客と中央値の顧客で月あたりの依頼数が20倍違いました。相場より先に、自社が月に何回サイトを更新したいかを数えてください。回数が決まれば金額はほぼ決まります。

Q. ホームページの保守費用はどの勘定科目で処理しますか?

月額の保守契約料は支払手数料や業務委託費などの期間費用、サーバーやドメインの年額は通信費などで処理するのが一般的です。個別の修正費用は「現状の効用の維持」なら修繕費、「新たな機能の追加」なら資本的支出に分かれます(法人税基本通達7-8-6の2)。

Q. 保守費用が資本的支出になるのはどんなときですか?

新規ページの追加、新機能の実装、仕様の大幅な変更など、機能が増えたり向上したりする場合です。判断が明らかでないときは、20万円未満またはおおむね3年以内の周期で行う改良なら修繕費として差し支えありません(タックスアンサーNo.5402)。

Q. 保守契約を結ばず、必要なときだけ依頼することはできますか?

できます。当社のデータでも稼働顧客の依頼は月2件が中央値で、都度依頼で足りる会社は実在します。判断材料は依頼の頻度です。月1回未満なら都度見積、月2回以上ならプランのほうが1回あたりは安くなります。

保守の見積を相談する

保守費用は「相場」ではなく「自社の依頼の出方」で決まります。過去1年に何回サイトを更新したかが分かれば、こちらで適切なプランを算出できます。分からない場合も、現在のサイトを拝見して更新頻度の見当をお出しします。福岡を中心にホームページの制作と保守を承っています。お気軽にご相談ください。

本記事の自社データは2026年8月13日時点の当社保守依頼データベース(2026年4月7日〜8月12日・249件・22社)を集計したものです。税制に関する記述は国税庁および財務省の公開資料の原文を同日に確認しています。