制作ノウハウ GA4の数字が実態とズレる理由|中小企業が最低限見る指標と二重計測の直し方
2026年10月14日
GA4の数字は「実態そのもの」ではない
GA4(Googleアナリティクス4)に表示される問い合わせ数やページビュー(PV)は、設定次第で実態より多くも少なくもなります。もっとも多い原因は「二重計測」で、1回の出来事が2回数えられている状態です。レポートを読む前に、まず計測が正しいかを疑うことが、数字を正しく読む第一歩です。
GA4は便利ですが、「画面に出た数字=事実」と信じ込むと判断を誤ります。ここでは当社(福岡のWeb制作会社)が自社サイトと顧客サイトで実際に見つけた計測のズレを、数字と直し方まで正直に公開します。あわせて、中小企業が最低限どの指標を見ればいいかも示します。
なぜGA4のコンバージョン数は実態より多くなるのか?
結論から言うと、同じ1件が複数回数えられるからです。代表的なのは次の2つです。
- タグの二重発火:計測タグ(Googleタグ/gtag)が2か所から読み込まれ、1回の表示で page_view が2回送られる。
- キーイベントの重複定義:同じ「送信完了ページの表示」を数えるキーイベント(旧コンバージョン)が2つ登録されていて、1件の問い合わせが2件に数えられる。
どちらも「アクセスが増えた」のではなく「数え方が重複している」だけです。GA4の画面はエラーを出さないので、気づかないまま顧客レポートや社内報告に使われ続けます。
持ち帰り:コンバージョン数が急に増えたら、まず「施策が効いた」ではなく「数え方が変わった・重複した」を先に疑う。
実例①:顧客サイトで問い合わせが2倍に見えた(14件→実際7件)
2026年9月、当社が運用を支援するある事業者のGA4で、「商品問い合わせ」が実態の約2倍に膨らんでいました。原因は、同じ送信完了ページの表示を数えるキーイベントが2つ定義されていたことです。
顧客へ提出するレポートに「問い合わせ14件」と書きかけましたが、イベント作成ルール(定義)を確認したところ条件が重複しており、実際は7件でした。気づかずに出していれば、広告や制作の費用対効果を2倍良く見せる誤った数字を渡すところでした。
持ち帰り:コンバージョン数を人に出す前に、GA4管理画面の「イベント」からキーイベントの作成条件が重複していないかを必ず確認する。件数だけでなく「定義」を見る。
実例②:自社サイトもPVが半年以上2倍だった(正直な話)
人のサイトだけではありません。当社のコーポレートサイト(alivecast.co.jp)自身が、半年以上にわたってPVと一部のコンバージョンが約2倍に膨らんでいました。
原因は、タグマネージャー(GTM)から出る Googleタグと、SEOプラグインの認証用の入力欄に過去に貼られたまま残っていた計測タグが、二重に page_view を送っていたことです。2026年9月に原因を特定して片方を外したところ、1回の表示で送られる page_view が2本から1本になり、見かけ上のPVが半減しました(セッション数には影響なし)。
つまり私たち自身が、半年以上「本当の2倍」の数字を見ていたわけです。お恥ずかしい話ですが、これが計測の現実で、プロが運用していても起こります。だからこそ定期点検が要ります。
持ち帰り:計測タグはGTM・テーマ・プラグイン・SEOツールなど複数の場所から入りうる。「どこか1か所だろう」と思い込まず、全部を棚卸しする。
自分のサイトが二重計測か、どう確かめる?
専門ツールがなくても、ブラウザの開発者ツール(DevTools)で確認できます。
1. ChromeでサイトをF12(開発者ツール)で開き、「Network(ネットワーク)」タブを選ぶ
2. フィルタ欄に次の文字列を貼る:
google-analytics.com/g/collect
3. ページを再読み込みし、`collect` のリクエストを選んで、送信内容(Payload / Query String)に `en=page_view` が含まれるものを数える
4. 1回の表示で `en=page_view` が2回飛んでいたら二重計測です
キーイベントの重複は、GA4管理画面の「管理」→「イベント」→対象イベントの「イベントを作成」ルールを開き、条件(送信先URL等)が別イベントと重なっていないかを見ます。
持ち帰り:まず自分の目で「1表示で何本飛んでいるか」を数える。ここが1本なら、少なくともタグの二重発火は無い。
二重計測以外にもズレは起きる — ゼロにはできない
正直に言うと、二重計測を直してもGA4の数字が「実態ピッタリ」になるわけではありません。構造上ズレる要因が残ります。
- 同意前の欠測:Cookie同意バナーで拒否されたぶんは計測されない(実態より少なく出る)
- クロスデバイス:スマホで見て後からPCで問い合わせた人は、別人として二重に数えられやすい
- 内部トラフィック:社内アクセスを除外する設定は有効化した日以降にしか効かない(過去にさかのぼって除外されない)
- ボット・自動アクセス:検索順位の計測ツール等が混じる。これは検索側(Search Console)でも起きる問題で、詳しくはサーチコンソールの表示回数はなぜ実態とズレるのかで解説しています
さらに、二重計測を直すと数字は下がります。過去と単純比較すると「減った」と誤解するので、直した日を記録し、その前後で水準が変わることを共有しておく必要があります。
持ち帰り:GA4は「正確な実数」ではなく「一貫した条件で傾向を見る道具」として使う。直した日はメモし、前後の比較に注意する。
中小企業がGA4で最低限見る指標は?
指標を増やしすぎると、かえって判断できなくなります。中小企業なら、まず次の4つで十分です。
| 指標 | 見る場所 | 何がわかるか |
|---|---|---|
| キーイベント(問い合わせ等) | レポート→エンゲージメント→コンバージョン | 事業の成果。ただし定義の重複を要確認 |
| セッション | レポート→集客→トラフィック獲得 | 訪問の量。流入元ごとの比較に使う |
| エンゲージメント率 | 同上 | 見てすぐ帰った訪問か、中身を見た訪問か |
| 流入チャネル | レポート→集客 | 検索・広告・SNSのどれが効いているか |
PVの絶対値を追うより、「問い合わせが、どの流入から、何件来たか」を見るほうが事業の判断に直結します。AI検索やAI Overviewの影響で表示や流入の読み方が変わってきた点はAI Overviewでアクセスが減ったとき、本当に見るべき指標は?でも扱っています。
持ち帰り:まず「キーイベント×流入チャネル」の掛け合わせを月1回見る。PV総数の増減に一喜一憂しない。
まとめ
GA4の数字は、設定次第で実態からズレます。とくに二重計測は、プロが運用する自社サイトでも半年以上見逃していたほど気づきにくいものです。レポートの数字を信じる前に、①タグが二重発火していないか ②キーイベントの定義が重複していないか ③直したら水準が変わることを共有したか——この3点を点検してください。
当社は福岡を拠点に、ホームページ制作だけでなく公開後の計測・運用の点検も行っています。「GA4の数字が本当に正しいか不安」「問い合わせ数が合っているか見てほしい」という方は、お問い合わせからご相談ください。運用・保守で実際に行う作業はホームページの運用・保守で実際にやることでも紹介しています。
よくあるご質問
GA4のコンバージョン数が急に増えました。施策が効いたと考えていいですか?
まず「数え方の重複」を疑ってください。同じ送信完了ページを数えるキーイベントが2つ登録されていると、1件の問い合わせが2件に数えられます。当社が支援する顧客でも、実際は7件のところ14件に見えていた例がありました。施策評価の前に定義を確認します。
自分のサイトが二重計測かどうか、自分で調べられますか?
調べられます。ChromeのF12→Networkタブでフィルタに「google-analytics.com/g/collect」を入れ、1回の表示で en=page_view が2回飛んでいないか数えます。2回なら二重発火です。当社のコーポレートサイトも、この方法で二重発火を見つけて解消しました。
二重計測を直せばGA4の数字は正確になりますか?
完全には一致しません。同意前の欠測、クロスデバイス、内部トラフィック除外が過去にさかのぼらないことなど、構造的なズレが残ります。GA4は「正確な実数」ではなく「一貫した条件で傾向を見る道具」と考え、直した日を記録して前後の比較に注意してください。
中小企業はGA4でどの指標を見ればいいですか?
キーイベント(問い合わせ等)・セッション・エンゲージメント率・流入チャネルの4つで十分です。PVの総数より「どの流入から問い合わせが何件来たか」を月1回見るほうが、事業の判断に直結します。
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